トラベルジャーナル20160118「キーワードで占う2016年」

視座「観光エポック」栗原博氏(日本商工会議所)


  • 2015年は、我が国の観光の歴史で、エポックイヤーといえる年であった。
  • インバウンドが増加し、空路または水路による外国人旅行者の入国数では世界10位に入った。また、44年ぶりにインバウンドがアウトバウンドを上回った。
  • アウトバウンドが減る一方で、国内旅行は増加している。海外旅行を避けているというより、国内旅行が見直されているのではないか。自分たちの住む地を見直し、再び光り輝くものを見出そうとしているからではないか。
  • 長年、「遊び」と捉えられがちだった観光が、本来の観光(国・地域の光を観る・観せる)の動きとなり、地域における極めて重要な文化活動、社会活動、経済活動として理解され始めたのではないか。
  • そう考えると、その動きが加速するであろう2016年こそが本格的な観光エポック元年だといえるのかもしれない。

Week's Topics


  • JTBによると、2016年はインバウンド2,350万人(19.0%増)、アウトバウンド1,620万人(0.3%増)、国内旅行は堅調に推移、となる見込み。


News in brief

  • HIS、初の純利益100億円超え。アウトバウンドが落ち込んだのを、インバウンドと国内旅行(ハウステンボスなど)が補完した。
  • NAA、中間期は増収増益

特集「キーワードで占う2016年」


  1. 国際情勢と海外旅行「旅行数減少にブレーキ」
    国際情勢は不透明であるが、11月のパリ同時テロの影響が限定的だったことや、原油価格の下落などを受け、減少にはブレーキがかかるのではないか。

  2. インバウンド消費「心の充足へ質的転換」
    今年のインバウンド消費は「地方拡散とパーソナル化」が進む。背景には、リピーターがFITとなること、すでに主要観光地はスピルオーバーして(溢れ出て)いること、免税対象品の拡大、などがある。

  3. 中国人客の消費志向「飲食と趣味に傾注」
    リピーターが増えるため、2回目意向の消費志向はファーストタイマーと異なる。爆買いなどはファーストタイマーの消費志向。

  4. 空港民営化「初年度の重点は効率性向上」

  5. アセアン単一市場「イン・アウト両面で需要増」
    アセアン経済共同体(AEC)の発足が東南アジアの旅行ビジネスに2つの側面で多大な影響を与える。域内のモノヒトサービスの自由化により、移動環境を筆頭に観光関連インフラの充実が図られることは確実であり、域内の周遊が容易となり、旅行ルートの選択肢が大きく増える。インバウンド観点ではカンボジア・ラオス・ミャンマーの3カ国の富裕層は有力な未開拓市場となる。16年は、AEC全体で見れば韓国や台湾に匹敵する300万人規模となるのではないか。

  6. ユニバーサルツーリズム「摩擦あれど市場拡大の契機」

  7. 伊勢志摩サミット効果「欧米客獲得の好機」

  8. ゴールデンウィーク動向「注目はポーランド」

  9. 国際航空座席販売「流通無視できずも直販6割に」
    5割を超えた航空会社の直販比率の情勢は弱まらない。徐々に拡大して6割に近づく。背景には、燃油費の大幅削減と座席搭乗率向上によって、航空会社が採算性を飛躍的に改善していることがある。

  10. MRJと地域活性化「運航まだ先も中小企業に脚光」

  11. 民泊「全国解禁へ暗中模索」
    世界的な需要拡大をにらみ、サービス基盤の構築を急ぐ仲介業者が相次ぎ参入する。百戦錬磨、エイブル、ヤフー、旅行会社、不動産業者、Airbnbの競合となる外資系OTA、など。

  12. LGBT「アライ化が市場獲得の鍵」

  13. ベジタリアン対応「インド人富裕層獲得の要に」
    全世界人口の5%〜10%がベジタリアンだと推計される。インバウンドが増えると同時に、ベジタリアン対応を求める声も増える。

  14. 日中旅行会社の協業「1億人市場獲得に向け拡大」

  15. 次世代型旅行販売「店頭接客にロボット普及」

  16. 五輪商戦「東京大会の正気探る出発点」
    8/5にリオデジャネイロでオリンピックが開幕。今大会の指定旅行代理店は前ロンドン大会の半数で、JTB・東武トップツアーズ、KNT−CTホールディングスの3社。いずれも一般向け観戦ツアーのほか、選手団や応援団、政府や企業などの関係者向け商品を取り扱う。特に地方自治体などの視察旅行には需要があり、商戦の的になる。

  17. 外国人と日本人の交流「気軽に会話を交わす日常に」

  18. ホテル間競争「都会型と地域型で二極化」
    宿泊業界の二極化には注目すべき。都会型と、それとは別に土地の歴史や文化・芸術を宿造りに活かし、地方の自治体を巻き込んで地域の魅力に迫る宿。

Seminar「中国人客の購買パワー獲得術」


  • せっかく日本に来たなら、日本人に対応してもらいたいのが本音。カタコトの英語でもいいので、中国人スタッフを介さずにまずは接客する努力をしたいものである。
  • インバウンド向けの販売現場で気になることがある。展示の美しさにこだわるあまり、販売に結びつかない展示が多数見受けられること。言葉が通じない分、外国人には一目で内容・魅力・他との違いがわかるような展示が必要となる。

Highlights「訪日マーケットの現状と展望」


訪日インバウンドビジネスセミナーから①

  • インバウンド急増の要因は、中国と台湾の訪日客数が大幅に伸びたことにある。両国は、滞在時間は短いが消費額が大きい。対して欧米系は滞在時間が長いため、一人当たりの消費額は大きくなる。
  • 滞在エリアは東京のシェアが圧倒的に高い。今後のシェアの鍵はリピーターが握る。ファーストタイマーは団体で、リピーターはFITで訪日する。FITは都市圏に集中する傾向があるため、より都市圏のシェが高まると考えられる。
  • アジア市場からのアンケート結果からは、日本への旅行を検討している比率が高まっていることがわかる(中国>台湾>香港>タイ)。アジアの旅行市場が成長しているため、北東アジアや東南アジアの各国とインバウンド争奪戦が繰り広げられることになる。

本原稿は、株式会社トラベルジャーナル社発行「TRAVEL JOURNAL」の記事を抜粋して掲載しております。詳細につきましては、購買の上ご購読をお願いいたします。

http://www.tjnet.co.jp