観光資源をみたてたい

9年間のリクルート生活で得たものはたくさんあるのですが、その一つが「隠れた魅力を発掘するスキル」です。そのきっかけとなった、忘れられないエピソードがあります。入社早々、あるパチンコホールの求人原稿を担当することになったとき、パチンコをやらない僕はその魅力がわからず、なかなか原稿制作が進みませんでした。お客さんへの原稿提案の期日はどんどん迫ってくる。そんな時、社内のある人が言われた「毎日毎日、その会社に通っている人がいる限り、その会社には必ず魅力があり、それを求める人がいるはず」という言葉に衝撃を受けました。自分は「自分の価値観というメガネ」をかけて世の中を見ていたのだと。世の中には多様な価値観があり、どのメガネをかけるかで見える景色は変わってくるのだと。

でも、メガネの替え方がわからない。それを相談すると、おせっかいな同僚がパチンコホールへ連れて行ってくれました。実際にパチンコを打ちながら、そこに集う人々、働く人々、漂う空気、そういうものを肌で感じるうちに、なんとなく、ここが居心地いい人の心境を感じられるようになりました。どんな原稿を作ったかは忘れてしまったのですが、メガネをかけ替えることの大切さと楽しさを知った機会となりました。

そして、メガネをあれこれかけ替えながら対象を眺めていると、今度は自分のメガネでしか見えないものが見えることがあります。それをFACTとともにお客さんに話すと、喜んでもらえることがありました。大きな仕事につながったこともあります。

この「隠れた魅力を発掘する(みたてる)スキル」を、観光の中で活かしたいと思っています。「インバウンド」、その中身はとても多様です。来てほしいのは、どこから来た、どんな志向を持っている、誰なのか。彼・彼女のメガネをかけたら、この地の風景はどう見えるのか。どう思ってほしいのか。